今取り組んでいるのが映画「仁光の受難」の音響制作です。
担当はMA(整音、環境音・効果音制作)です。
「仁光の受難」は邦画では珍しい本格長編時代劇です。
撮影のロケーションや大道具小物などもさることながら音響にとっても「時代劇」は負荷がかかる分野です。
邦画は同録音声(撮影時に現場で一緒に録音される音)をメインに構成すると言われているのですが時代劇の世界には現代の機械音や自動車の通過音がありません。
ですのでこういった音が混入したトラックは大きくEQやノイズリダクション処理を行うことになるのですが取りきれない音も多く必然的に後から別に作成した音で再構築するカットも多いです。
特に撮影時に発電機で照明をたいている場合は発電機の音が大きく、当然ブ~ンといった機械音は作品世界に存在してはいけないため大きな低減処理が求められます。車の通過音は山を越えてやってきますし…。
山林がシーンとしては多いのですがここぞとばかりに今まで録りためた音を多用しています(^^)ロケにも関東、関西問わず奥多摩、高野山、箕面などいろいろな場所で新規録音を行い、クリーンな環境音の映像作品を目指しています。
加えて、監督の希望もあって邦画としてはおそらく、かなりフォーリー(映像の動きに合わせて音を入れる手法)を多用した作品になっていると思います。
ハリウッド映画などでは音の隅々までクリーンで分離が良いですよね。
そういったサウンドは現場音よりも後入れの音を中心に音響を再構築した結果生み出されるものです。
日本の映画制作の現場では(大規模予算が取れる作品以外は)後入れの音を中心に音響を構築するというケースは少ないと思っています。
そういった意味でも力を入れて取り組んでいます。
日本の環境音・自然音の録音と、オリジナル効果音の作成はどちらも得意とする分野なので良い素材をたくさん投入して、ぜひ良い物に着地できたらと思っています。
ちなみに、上の予告編動画は綺麗にする前の音声なのでさらによくなると思います!
どうぞお楽しみに。